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長野地方裁判所 昭和40年(わ)54号 判決 1969年9月03日

事務所々在地

南佐久郡八千穂村大字畑四九番地

畑八開発企業組合

(右代表者理事 佐々木嘉幸)

本籍と住居

同郡同村大字畑八六二番地

組合理事

佐々木嘉幸

大正一〇年三月二七日生

本籍と住居

同郡同村同大字一二五番地

組合理事

佐々木広雄

昭和二年四月二〇日生

昭和四〇年(わ)第五四号法人税法違反被告事件

検察官

金井猛 出席

主文

一、被告畑八開発企業組合を判示第一の事実につき罰金五〇万円に、判示第二、第三の事実につき罰金四〇〇万円に、

二、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄を判示第一の事実につき、それぞれ罰金五万円に、判示第二、第三の事実につき、いずれも罰金五〇万円に処する。

三、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄において右罰金を完納することができないときは金一、〇〇〇円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告畑八開発企業組合は、昭和二六年一一月二七日中小企業協同組合法に基き設立され、主として河川、道路などの土木建築を業とするもの、被告人佐々木嘉幸は同組合の理事として同組合事務を統轄しているもの、被告人佐々木広雄は同組合の理事、工務部長として同組合の工務全般および経理の事務を担当していたものであるが、被告人佐々木嘉幸および同佐々木広雄は共謀の上、同組合の業務に関し、法人税の一部を免れようと企て、組合正規の帳簿などに架空支出を計上し、八十二銀行栄支店などに多額の別途預金を設け所得の一部を秘匿し、これらを正式の決算書から除外して同組合の法人税確定申告書を提出する不正の行為によつて、

第一、同組合の昭和三六年四月一日より昭和三七年三月三一日までの事業年度分の所得金額が一、四〇三万九、〇四四円であつてこの法人税額が五二三万四、八二〇円であるのに昭和三七年五月三一日所轄佐久税務署長に対し同事業年度の所得金額は三九〇万二、一二〇円でこれに対する法人税額一三八万二、七九〇円である旨を記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度の法人税三八五万二、〇三〇円を逋脱し、

第二、同組合の昭和三七年四月一日より昭和三八年三月三一日までの事業年度分の所得金額が五、五四五万三、五一九円であつて、この法人税額が二、〇九七万二、三三〇円であるのに、昭和三八年五月三一日前記税務署長に対し、同事業年度の所得金額が八一七万七、一〇三円で、これに対する法人税額三〇〇万七、二九〇円である旨を記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度の法人税一、七九六万五、〇四〇円を逋脱し、

第三、同組合の昭和三八年四月一日より昭和三九年三月三一日までの事業年度分の所得金額が三、二三二万一、三八〇円であつて、この法人税額一、二一八万二、八九〇円であるのに、昭和三九年五月三〇日前記税務署長に対し同事業年度においては欠損金額二七五万八、二三三円である旨を記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同事業年度の法人税一、二一八万二、〇九〇円を逋脱し

たものである。

(判示各事業年度における実際所得金額の算定については別表第一ないし第三の修正貸借対照表、逋脱所得の内容については別表第四ないし第六の逋脱所得の内容にそれぞれ記載のとおりである。)

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄の検察官に対する各供述調書

一、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、長野地方法務局白田出張所登記官作成の被告組合の登記簿謄本

一、笹崎辰俊、小須田信太、須田武仁、高橋秀一、高橋文人、堤茂、今井清、須田茂、相馬瀬一郎、山浦貞己の検察官に対する各供述調書

判示第一の事実

一、被告人佐々木広雄の昭和四〇年一月二五日付供述書三通

一、山浦貞己の昭和四〇年二月一五日付供述書

一、相馬瀬一郎の昭和四〇年一月二五日付供述書

一、佐々木栄司(昭和四〇年二月一五日付)北信スバル株式会社駒村寛治(昭和四〇年二月八日付)入信弥(昭和四〇年一月二六日付写)今井清(昭和四〇年一月一三日付)小林末人(昭和四〇年二月一五日付)各作成の答申書

一、佐久税務署長野村寛(昭和四〇年三月一五日付)作成の証明書(法人税確定申告書写)

一、固定資産台帳(昭和四二年押第二七号の一三)元帳(同号の一二)労賃支払明細書(同号の五、七)手形記入帳(同号の六)振替伝票(同号の一)

一、高木数能外二名作成の昭和四〇年一月一四日付調査関係書類

判示第二の事実

一、被告人佐々木広雄の昭和四〇年一月二五日付(三通)同月二六日付、同月二七日付各供述書

一、被告人佐々木嘉幸の司法警察員に対する昭和四〇年五月一一日付供述調書

一、笹崎辰俊、小須田信太の検察官に対する各供述調書

一、山浦貞己の昭和四〇年二月一五日付供述書

一、入信弥(昭和四〇年一月二六日付)今井清(同月一三日付)山浦貞己(同月一二日付)北信スバル株式会社駒村寛治(同年二月一五日付)小須田信太(昭和三九年一二月三日付、昭和四〇年一月二六日付)笹崎辰俊(昭和三九年一二月三日付、昭和四〇年一月二六日付)各作成の答申書

一、佐久税務署長野村寛(昭和四〇年三月一〇日付、昭和三八年五月三一日付法人税確定申告書写)小宮山良三(同年一月一六日付)井出幸衛(同月一八日付)入信弥(同月二七日付)各作成の証明書

一、振替伝票(昭和四二年押第二七号の二ないし四)固定資産台帳(同号の一三)労賃支払明細書(同号の九、一〇)出面帳(同号の八)手形記入帳(同号の六)労賃支払明細書(ブルトーザー関係綴)(同号の一一)

判示第三の事実

一、被告人佐々木広雄(昭和四〇年一月二五日付三通)同佐々木嘉幸(同年一月一一日付)各供述書

一、倉島国久(昭和三九年一二月一日付)山浦貞己(昭和四〇年二月一五日付)の司法警察員に対する各供述調書

一、入信弥(昭和四〇年一月二六日付)今井清(同月一三日付)黒沢国雄(同月一四日付)小林基重(昭和三九年一二月一日付)笹崎辰俊(昭和四〇年一月二六日付)西条仁(同年二月一日付)島川武雄(同月三日付)各作成の答申書

一、固定資産台帳(昭和四二年押第二七号の一三)

一、佐久税務署長野村寛作成の証明書(昭和四〇年三月一〇日付昭和三九年五月三〇日提出の法人税申告書写)

(法令の適用)

被告組合と被告人佐々木嘉幸および同佐々木広雄の判示第一の行為は、昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、その改正前の昭和三七年法律第四五号同法附則第一一条によつて更に同法律の改正前の昭和二二年法律第二八号法人税法第四八条第一項(被告組合につきさらに同法第五一条第一項)に該当するので、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄につき所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で判示第一の事実につき被告組合を罰金五〇万円に、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄をそれぞれ罰金五万円に処し、被告組合と被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄の判示第二、第三の各行為は昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条による改正前の昭和三四年法律第四五号による法人税法第四八条第一項(被告組合につきさらに同法第五一条第一項)に各該当するところ、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄につき所定刑中罰金刑を選択し、被告組合と被告人佐々木両名につきいずれも同法第四八条第二項により罰金額を合算した各所定金額の範囲内で、判示第二、第三の事実につき、被告組合を罰金四〇〇万円に、被告人佐々木嘉幸、同佐々木広雄をそれぞれ罰金五〇万円に処し、被告人佐々木両名において右罰金を完納することができないときは同法第一八条により金一、〇〇〇円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木雄八郎 裁判官 落合威 裁判官 松山恒昭)

別表1

修正貸借対照表

畑八開発企業組合 昭和37年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別表2

修正貸借対照表

畑八開発企業組合 昭和38年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別表3

修正貸借対照表

畑八開発企業組合 昭和39年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

別表4

逋脱所得の内容

事業年度

自 昭和36年4月1日

至 昭和37年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別表5

逋脱所得の内容

事業年度

自 昭和37年4月1日

至 昭和38年3月31日

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

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<省略>

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<省略>

別表6

逋脱所得の内容

事業年度

自 昭和38年4月1日

至 昭和39年3月31日

<省略>

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